チベットを思う

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チベット情勢が大変なようですね。

中国による支配に抗議するデモは繰り返してあったことはあったんですが、今回ほど国際的に注目されているという機会はないんじゃないでしょうか。

個人的にですが、僕もチベットに行った一人です。
たかだが一週間、それもラサだけという体たらくでしたが、それでもラサの標高は3650メートルあります。高山病になったり、食べ物にあたったりと大変苦しい思い出となりました。

僕がラサを訪れたのは、もう4年も前のことになります。
2004年の3月でしたが、その頃はまだ西蔵鉄道はできていませんでした。
建設中という看板は出てましたけど。

チベットに行くためには入境証というものが必要になります。
確か中国では成都で発行してもらうことになるはずです。僕は日本でチベット旅行を仲介してくれる旅行会社に依頼して手続きをしてもらい、成都で受け取りました。
この手続きはほとんど業者の言い値です。詳しい費用の内訳を聞いたところ、知らない方が言いこともあるんですよ、となんとも旅行会社らしからぬ返答をされたのを覚えています。
基本的にチベットに入るためには観光ツアーとして入るということが前提となっていますので、一人で行っても形はツアーのようになり、現地の滞在ホテルも事前に決めなければならないし、入国と出国には現地でガイドが必ず同行します。
監視されていると言えば言えなくもないですが、あちらにつけば全くの自由に活動できますから、不自由さは特に感じません。
中国はチベットを国の一部と主張して支配を続けている訳ですが、実際にチベットに行くためには中国へのビザの他に、チベットでのビザ(入境証)も必要になる、というのが現状です。

チベットに関心をもつきっかけは、子供の頃に『サザンアイズ』という漫画を読んで、そこに聖地として紹介されていたというのがあります。その後ブラッド・ピットが主演した『セブン・イヤーズ・イン・チベット』でチベットへの想いが再び湧いてきたという感じでしょうか。
初めての海外旅行だったのですが、どうせなら行きたいと思うところで今後行く機会がないかも知れない場所にしよう、ということでチベットを選びました。
実際にチベットを訪れる際には『地球の歩き方 チベット』、ハインリヒ・ハラーの『セブン・イヤーズ・イン・チベット』、河口彗海の『チベット旅行記』、創元社「知の再発見」双書112『チベット』を読んでから行きました。

僕はチベット問題を詳しく論じるだけの知識と能力はもちあわせていませんが、ラサを訪れて個人的に感じた感想を述べたいと思います。

ラサの街を歩いたことのある人ならば皆、チベットは中国によって支配されている場所なんだということを実感するはずです。
ラサの街には旧市街の他に新市街が開けていますが、新市街はいかにも中国という雰囲気です。街の中心のポタラ宮の南側には薬王山という信仰の対象となっていた山があります。
ここは旧市街のバルコルなどからもよく見える場所なのですが、寺院を破壊して頂上に中国が大きなテレビ塔を建ててしまっています。
この光景は、僕には衝撃的でした。他者の文化に対して何の敬意もはらっていないのだということがよくわかります。
ラサの街は、チベット文化の上から意図的に中国文化を塗り重ねてしまっているというべきでしょう。

この光景を実際に目にしているだけに、僕はチベットが平和と自由を得て、明るい未来をつかんでくれることを願っています。その方向性が中国からの独立であるのかどうかは、チベットの人々が決めればいいことだと思いますが。
ただダライ・ラマ14世ももう74歳になるようですね。チベットの教えでは聖人は亡くなってもすぐまたどこかで生まれ変わるものですから、ダライ・ラマは継承されるものです。
しかし、現状のチベットでは、ダライ・ラマの継承はどうなってしまうのでしょうか。

チベット問題に少しでも関心をもった方、まずは創元社から2003年刊行「知の再発見」双書112『チベット』を是非読んでください。
その歩んできた歴史や文化、事情が少しでも思い描けるようにはなると思います。
ただチベットはかわいそうな国なんだ、というだけに終わらないその先が見えてくるのではないでしょうか。

そういえば今日はお釈迦様の誕生日こと、花まつりの日ですね。
この日にこの記事を書くことになったのも、偶然のようで必然なのかも知れませんね。

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