前髪が伸びてくると、何か暗くなりやすい、今日この頃です。
月曜日の撮影話の続きをきいてください。
月曜日、撮影が終わってから安井塾の稽古場へ向かい、10時すぎの電車に乗っていました。
新百合ケ丘からいつも一人な私は、松屋のキムチ牛めしを食し、その後ちゃっかりコンビニでソフトクリームも食べ、牛牛つくしなのにも関わらずお腹が減って減ってたまりませんでした。
ボーッと電車に乗っていると、お友達から電話がかかってきました。
最近お友達になった子なのですが、悩むところや性格がすごく似ていて、その時かけてきた理由も
「ルミさん、怒ってないですよね?」
とまるで自分の生き写しのよう。
そして電車に乗っているもかかわらず電話していました。
私はその日大きい紙袋三つ持っていたので、人に迎えにきていただく予定だったのですが、その人に電話するのも忘れて電話してました。
「駅についてからかければいいや」
そんな気分でした。
駅につきました。
私は相手が「切りますモード」でないと、嬉しくてついつい長話をしてしまうのですが、今回はそんなに長くならないだろうとみこんで駅のベンチで電話していました。
…十分、二十分、三十分があっという間に過ぎました。
「寒い!」
駅のホームでの風は冷たく感じました。
あ!やばい、そろそろ迎えにきてもらう電話しなきゃ、と思ったその時!
お友達の声がとぎれました。
「何事!?」
携帯を見ると、画面には「充電してください」と表示されていました。
「げっ!!」
漫画の「驚き!」の一番わかりやすい感じでした。
「…まあ、駅の公衆電話からかけるか」
私にしてはえらく前向きに考えました。
改札を出る前に公衆電話が…
あった!!
私は重い荷物を引きずりながらも公衆電話に近づきました。
「危ないとこだった!」
こんな時、いつでもどこでも気軽に電話できる携帯電話の存在の大きさに気付かされます。
「!!」
…『テレホンカード専用』って書いてある!
テレホンカードなんてもちろん持っていません。
「まぁいい、駅出たところに公衆電話くらいあるだろ、」
そんな気持ちで改札を出ました。
シーン…
オリジン弁当とスナックしか見えませんでした。
大体この駅自体迎えに来てもらうとき以外におりたことがないのでどこに何があるとかまったくわからないのです。
私の最寄駅は田舎ながらもかなりの数の公衆電話が設置されているのですが、この駅はシーンとしていました。
しょうがなく私はスナックの細道を歩きました。
「スナック」といってもホントスナック色が強すぎて、ちょっと引いてしまうほど。
…ない。
公衆電話がないのです!
遠くにコンビニが見えました。
あんな遠くまで行かずになんとか近くで電話をかけることができないか!?
そう思いましたが、スナックと暗い道しかないので、しょうがなくコンビニまで歩き始めました。
携帯電話が愛しいと思いました。
「コイツめ!!こんな大切な時に真っ暗になりやがって!」
コンビニにつきました。
公衆電話発見!!
身軽でしたらダッシュでそこまで向かえるかもしれません。
しかし私は紙袋三つの女。重いんです。
公衆電話の前につき、財布から十円玉をいくつか取出し、十円玉を一枚、公衆電話にいれました。
「!!」
『テレホンカードのみ使用可』
色褪せたマジックで書かれた画用紙が貼られていました。
「うそだあ!!」
もう聖斗星夜ばりの悔しさです。
「タァタァタァタァ!!」炸裂パンチをかましたい気分でした。
「…コンビニの中には電話あるだろ。」
私は、店の電話を借りようと思いました。
テレホンカードしか使えない公衆電話を置いているコンビニエンスストアは、テレホンカードを持っていない客に電話を貸す義務があるんじゃないのか。
私の中の方程式は組み立てられました。
「あの、この辺に公衆電話ないですかね?外の電話テレホンカードしか使えなくて…」
方程式は組み立てられても、さすがに
私「あんたんとこのコンビニさ、どーゆーつもり!?あの、テレホンカードのみ使用可ってさ、随分前に書かれたものだろ!?」
店員「…!!」
私「あんなに色褪せてるしさ、ずっと前に書かれたもんだろって言ってんだよ!」
店員「あ…すいません…確かに随分前に…」
私「それなら店の電話を貸せ。」
店員「お客様さすがに、それは…」
私「いいから貸せっつってんだよ!!」
…というわけにはいきません。
初対面には初対面の礼儀。
店の電話を貸してもらうには店の電話を貸してもらう礼儀が必要なのです。
私「あの、この辺に公衆電話ないですかね?外の電話テレホンカードしか使えなくて…」
店員「すいません、存じ上げてございません。」
終了。
彼ならコンビニ強盗に強気で対応するかもしれません。私はそう思いながらコンビニを後にしました。
あぁ、これからどうしよう…
それから私の後悔オンパレードが始まりました。
いつ!?どのタイミングで自分は道を踏み外したんろうだ!?あの電車の中で電話をしてた時から!?ホームで三十分も話してたから!?
それでも、自力で帰ろうとしない自分がいました。
終電もまだあるのに、
「こうなったら絶対迎えに来てもらってやる!!」
…交番発見!!
きっとおまわりさんはいつだって私達が困っている時は、助けてくれるのです。
それでこそお巡りさんです。尊敬の意をこめて、漢字にしてみました。
ガラガラガラガラ、交番のドアをあけました。
お巡りさん「どうしました?」
私「あの…公衆電話がなくて…」
お巡りさん「駅は?」
私「駅はテレホンカードしか使えませんでした。あとコンビニも。」
さりげなく、自分、公衆電話たくさん探したんです!とアピールしてしまうところが人間の悲しい性です。
お巡りさん「テレホンカード、持ってないんだ?」
私「…はい。」
お巡りさん「入って。」
私は交番の中に入りました。ふと、二十歳の時に痴漢を捕まえて交番に入った時を思い出しました。
「ホントはダメなんだけど…」
お巡りさんはそう言って交番の中にある受話器を持ち上げました!!
「えっ!!いいんですか!?」
待ってましたとばかりに笑顔全開になってしまいました。
「どういう理由でかけるの?」
さすがお巡りさんです。無駄に電話を貸したりしません。私の理由が正当な理由かを聞いてジャッジするつもりなのでしょう。
しかし私は紙袋三つの女!!同情されるポイントは持ち合わせています。
私「あの…人に迎えに来てもらう約束で‥」
お巡り「その人の名前は?」
えっ!名前まで聞くのかよ!電話くらいちゃちゃっと貸してくれよ。
…そう思ったのも事実です。
私「○○さんです。」
この人!!私を迎えにくるだけなのにまさか警察に名前をかかれているなんて思ってもいないだろうな…と思いました。
お巡り「電話番号は?」
えーっ!?電話番号まで聞くの!?マジ!?
「090…」
お巡り「あ〜‥090発信かあ…」
そういうとお巡りさんは電話をかけはじめました。
えっ!?お巡りさんが電話するの!?
うそ!かわってよ!!
お巡りさん「え〜、090発信です。090…、○○さんです。」
どこかの署にかけているのでしょうか。
私にはわからない空間でした。
そしてお巡りさんは電話を切り、
「今、かかってくるから出て。」
「!?」
かかってくる!?誰から!?
トゥルルルル‥
本当にかかってきた!
ひるむ私。
電話に出るお巡り。
お巡り「○○さんですか?今、かわります。」
お巡りさんは私に受話器を渡しました。
「‥もしもし?」
○○さんだ!!○○さんだ!!
私はやっとここまで辿り着いた!と興奮しました。
「‥何やってんの?」
本当です。私は一体何をやっているのでしょう。
こんな経緯があって今交番から電話をかけているなんて誰も想像しないでしょう。
「今…交番にいる。」
「交番!?なんで?」
ホント…何でなんでしょう。
「公衆電話がなくて…それで今○○の駅にいる。」
「○○?何で?もう帰ってる時間じゃないの?」
そうです。ホントならもうとっくに家についてる時間なんです。私はこの話がすべてお巡りさんにつつぬけだと思うと死にたい気持ちになりました。
「…迎えに来てください」
「…わかった。交番で待ってて。」
そう言って電話を切りました。
お巡りさんに頭を下げ、ずっと握りっぱなしだった120円を
「これ…」
と言ってお巡りさんに差し出しました。
「いや…いいですよ。」
確かに、「じゃ、いただきます。」と受け取られても、後々かなり疑問が残るところですが、遠慮した120円をポケットにしまい、
「ありがとうございました。」
と深々と頭を下げ交番を出ました。外は冬。ジャージ姿の私を寒さが容赦なく襲います。
「!!」
…コンビニで待ってるって言えばよかった!
そう、○○さんは交番の前でと言っていました。
では、私は交番の前で待たなければいけないのです。
…寒い。
先程電話を貸してくれたお巡りさんに
「寒いので中に入れてください。」
とも言えず、紙袋三つを下に置き、ジャージ姿で交番の前で待ちました。
お巡りさんが「寒いから中に入りなよ」という言葉をまちながら。
携帯が見れないので何時かもわかりません。
通りすぎる車を見ては、もしや!?と思い、違う違う…
年をとったお巡りさんが来ました。
「待ち合わせ?」
「あ…ハイ。」
笑顔で交番へ入って行きました。
…私もいれてくれ。そう思いました。
待ちに待って○○さんが来ました!!
嬉しいのに泣きだしたい気分でした。
私は、「お巡りさんにお礼を言ってよ!」
意味のわからない言い分をぶつけました。
心優しい○○さんは「ありがとうございます。」とお巡りさんに言ってくれました。
「いえいえ。」
そう笑顔で返したのは、先程私に「待ち合わせ?」と聞いただけのお巡りでした。
「!!」
違う!アイツじゃない!お礼は私に電話を貸してくれたお巡りさんに…!
車が出発しました。
「さよなら…電話をかしてくれたお巡りさん…ありがとう…。」
車の時間を見て唖然…!
30分も!30分も待っていたのです。公衆電話を探した時間もあわせればなんとまあくだらない時間を過ごしたのでしょう。
あ〜ん、わたしのバカ野郎★★こんな24歳になってるなんて小学三年生の私は思いもしなかったことでしょう‥☆
青春ララバイ☆
このブログ、最後まで読んでくれた人は本当にすごいと思います。
「読んでくれたあなた!!ありがとう(^O^)/!」